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 かつて安倍晴明は帝の勅命により、陰陽道の究極の秘術を持ち帰るよう命じられて中国へ渡った、…という伝説があります。 

 晴明が中国に渡ったとして、当時の中国のことを調べてみますと、なんと、後に宋の皇帝となる趙匡胤と出遭っていても不思議ではないことがわかりました。
趙は家出をして、中国各地を旅してまわっているのです。これで旅の道連れは決まりました。 

 晴明は趙との旅で殷、周、秦と続く古代帝国の魔術(方術)の系譜と奥深さを会得し、同時に魔術の恐るべき闇の部分をも知る。

 物語は中国での晴明の過去と、陰陽師として名を成した晴明の平安京での今とがクロスオーバーしながら進んでいきます。そこで語られるのは化生の者として生きる者の宿命であり、同時に人として生きることの意味なのです。

 人と狐の間に生まれた化生(けしょう)の者、安倍晴明。

 なぜ、そのようなに噂されていたのでしょうか?

 化生の者は人ではないのか?

 ならば、人の定義とは? 

 何をさして人と呼ぶのか?

 そして、噂の真偽は?

 『晴明奇伝〜魂の迷宮〜』は安倍晴明の数々の謎、そして、研究本で常識とされていることすべてを鵜呑みにすることなく、独自の視点に基づいて、これまでと異なった安倍晴明像を打ち立てています。
安倍晴明

幼い頃の記憶を失った陰陽師。京に来る前のことは何も覚えていない。賀茂忠行に拾われ、陰陽師としての才能を開花させる。人智を超えた力に化生の者。すなわち人と白狐の間に生まれたと噂されている。

されている。


藤原秀成

藤原一族の中でも政治には無縁な南家藤原氏に生まれ、大学寮にて紀伝道を学んだ後、文章博士となった。都良香、紀長谷雄を師と仰ぎ、彼らにならってこの世の怪異を書き記し、本にすることを生きがいとしている。怪談オタク。

噂されている。


賀茂保憲

陰陽寮に仕える陰陽師。暦道を司っている暦博士。帝を守護する役目を与えられている。父である賀茂忠行を安倍晴明の力で死人も同然の姿にされて以来、晴明を敵視している。

噂されている。


小倩

京の市で秀成が買った美人画。小倩とは可愛らしい者という意味の中国の言葉。実は100年もの間、絵に魂を封じられ、ずっと絵の中から助けを求め続けていた。はかなくも可憐な、名家の姫君。

噂されている。


橘姫

妖艶にして恐るべき物の怪。安倍晴明を苦戦させるも、賀茂保憲によってその正体があばかれる。以後、時を超え、互いに転生を続けながら対決を繰り返す宿命に縛られていく。


趙匡胤

晴明が中国に渡るために乗り込んだ商船の用心棒。晴明に命を救われたことに恩義を感じ、そのまま旅のお供となる。軍人の父親と違った生き方を求め、各地を旅した末、やはり軍人となり、後に宋を建国して初代皇帝となる。


紫蛍

歌姫姉妹《三麗娘(さんれいじょう)》の末娘。中国の華北・江南地方で知らない者はいない人気の歌姫。趙匡胤の憧れの女性。その歌声に魅了されない者はいない。


銀月

歌姫姉妹《三麗娘》の長女。歌姫一座のリーダー役。人の良さが魅力で、困っている人を見たら見捨ててはおけない性格。おおらかで包容力に富んでいる。


紅華

歌姫姉妹《三麗娘》の次女。元気で明るい。賭け事が大好きだと思われているが、それには理由がある。晴明にそれを見抜かれて、その鋭さにドキッとする。


道方師

方術士の中で最も優れた力を持つ者に与えられる「師」の尊称を与えられている人物。古代周王朝が築き上げた魔術・呪術文明の遺産を手に入れようと中国全土を旅している。後に晴明の最大の宿敵となる。


莉花

道の弟子。周の時代より音楽方術を司る家に生まれ、継承者としてすべての奥義を身につけてきた。その名は後に晴明の妻として語り継がれる女性と同じであるが、果たして彼女は…?


ちとせ

秀成の通う唐物屋で、彼とは遠い親戚の間柄。お宝と称しては怪しげな物を秀成に売りつけている。後の藤宮ちとせ(『宍戸町フォーチュンきっす』参照)。