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都会に引っ越した高校生の鳴海秋人は、その東京の空気に馴染めず、
夏休みを利用して生まれ故郷の離島『忘ヶ島(ぼうがしま)』に半年振りに帰る。

そこで待っていたのは年下の明朗活発な中学生の茜と、同級生だった学級委員長の薫、
そして暗くて取っつきにくい感じのする静音たちだった。

秋人は再会を喜ぼうとするも、茜を除いた薫と静音はどうも歓迎していないような、よそよそしい雰囲気。
仕方なく秋人は、自分が半年前まで住んでいた旧家に向かう。

今では寂れてしまった忘ヶ島だが、秋人の祖父の代は船貿易で栄えていたらしく、
明治の時代に建てられたという秋人の旧家も、立派なお屋敷の姿で、今も丘の上に残されていた。
古めかしいが味のある屋敷に入ってくつろぐ秋人に、来客がある。隣の家に住んでいるという、
年上で色っぽい佐久間琉璃栖という女性だった。秋人はその女性にまったく見覚えがないのだが、
琉璃栖のほうは秋人のことをよく知っているらしい。しかも馴れ馴れしくキスまでしてくる始末。

呆気にとられてしまう秋人。彼女はいったい何者なのだろうか……?
そんな疑問をよそに、秋人は島の図書館に出かける。なつかしい空気の中で、
秋人はまた静音と薫の二人に偶然出くわし、「もうよそ者なのだから島から早く出て行って欲しい」と、
厳しい言葉を浴びせられてしまう。

気落ちした秋人はその晩、夕食を囲もうとして集まってくれた茜と琉璃栖から励まされ、
そこで初めて都会の暮らしに傷つき、打ちのめされて帰ってきたこと、そして高校をやめて、
この島に帰ってきたいと告白する。

そしてその夜……不思議な出来事が、秋人の身に起こる。
夜中に誰かに呼ばれたような気がして外に出てみると、なんと港の蔵通りのほうで
妖しい遊廓の姿が浮かび上がっていたのだ。昼間にはそんな建物などなかったはずなのに……っ!

引き寄せられるようにして近づいた秋人は、その遊廓の中に自分がよく知る女の子の姿を目撃する。
はかなく弱々しい声をした中学のときの同級生。そして秋人の初恋の相手でもある、宇津宮琴音であった。

しかしバカな――。
琴音は確か、中学のときに台風の犠牲になって死んでいるはず!

そう疑った秋人だが、琴音に瓜二つな彼女に吸い寄せられ、その儚げで小声でしゃべる、
謎めいた不思議な雰囲気の女の子と、友達になろうと努力する。
翌朝、目覚めてみると秋人は自宅の寝床にいた。心配して駆けつけた薫からは、
路上で倒れていたんだと衝撃の事実を教えられる。しかも琴音と再会した話も、
遊廓のある花街を深夜に見てしまった話も、それは夢か幻を見たんだと笑いながら諭されてしまった。

あれは……本当に幻覚だったのだろうか?
そしてあの、琴音にそっくりな女の子と出会ったのも、夢だったのだろうか……?

秋人は事実を確かめたくて、再び図書館を訪れる。
当時の資料やまた中学校の卒業アルバムなどを調べてみようとしたが、蔵書の数が多すぎて見つけ出せない。
途方に暮れた秋人は、図書館に訪れていた静音に《琴音についての情報》を得ようとするも、
静音はけんもほろろに誤魔化そうとした。

そして秋人はこのとき――重大な事実に気がついてしまった。
自分の記憶の中で、琴音が死んだ当時のことがごっそり抜け落ちていたのである。
いくら思い出そうとしても、思い出せない!
――琴音は本当に死んでいたのか?
その記憶さえも曖昧である。
なぜ、そこの記憶だけが失われてしまっているのだ?
ついに秋人はその謎の真相に迫ろうと、動きだしたのだった。

江戸と明治時代の風情を残すタイムスリップしたかのような離島《忘ヶ島》を舞台に、
少年と少女の淡い初恋の想いがよみがえる、
サスペンスと伝奇ロマンを盛り込んだジュブナイルノベル風ボイスドラマ!

ドラマCDを舞台でライブ上演する『劇団ボイスマジック』の第1回プロデュース公演として、近日公開!
鳴海秋人(16歳)=なるみ あきと
VC
秋山卓史
N(ナレーション)
伊藤舞子
ここは『まぼろしの島』よ……。

……あなたは、忘れられない過去に惑わされてるだけなの。

この物語の最大の謎を解くカギとなるヒロイン。
彼女についての情報は、公演前においては一切が伏せられている。
なので、ここでは琴音が生まれた背景――キャラクターメイキングについて解説しよう。

せつなく、はかなげな少女……。

琴音のイメージは、今回『まほろばの島』の脚本家が実際に恋した“初恋の女の子”がモデルになっている。
脚本家の初恋の相手は、小学生のときから魔性のような妖艶な魅力を漂わせた異色の女の子だった。
やがてその彼女は10代の若さで水商売の世界に導かれ、そして男と駆け落ちをして行方不明になってしまった。
そんな過去の出来事を思い返し、脚本家は「もう二度会えないんだ……」という、
当時のせつない想いを、今回のヒロインに込めていったという。
彼女は、今もどこかで元気に暮らしてるのだろうか……。
……もう二度と会えない女の子への想い。

それが、今回の琴音というキャラクターが生まれた出発点なのだ。
空想の物語だからこそ可能にさせた、初恋の子との再会……。
さらに新たな謎が加わり、クライマックスは大ドンデン返しへとつながる。
脚本家の構想は、過去を繙く作業のように物語として結実していった。
ゆえに、この琴音の存在は今回のストーリーにおいて重要な位置づけとなっている。


僕はこの島が好きなんだ!
だから高校を辞めて、ここに暮らしたいんだ!
――琴音ちゃん??
キミは、あの琴音ちゃんなんだろ!?
そう、僕は……死んだはずの“初恋の子”に……島で再会した……。
誰にでも訪れる“子供から大人への微妙な時期”をイメージして作られた、本作品の主人公。
もちろん青少年の平均から見れば、大人への成熟が遅いほうの少年になるのだろう。
しかしそんな秋人少年の純朴さは、生まれ故郷である『忘ヶ島(ぼうがしま)』において培われてきたものだ。
ゆったりと流れる島での生活に親しみ、明治の時代に船貿易で島を栄えさせた亡き祖父を敬愛する少年は、
この先ずっと忘ヶ島での暮らしを望み、大好きだった祖父の遺した島の美観
――江戸と明治の風情を残す“古風で美しい町並み”を自分の手で守っていきたいと思っていた。
だが、秋人少年の忘ヶ島に対する敬慕の情は、島を捨てて都会に移り住もうとする両親の決断によって
あえなく潰えてしまう。

時代に取り残された離島での生活は、彼の両親にとって苦痛以外の何ものでもなかったのだ。
秋人の反対も虚しく、一家は祖父が建てた立派な屋敷を捨て、経済的な潤いを求めて東京へと住まいを移す。
そして当然のことながら秋人は東京の空気に馴染めなかった。転校した高校では浮いた存在になり、
競争を強いられる学園生活に挫折を感じていく……。
誰にも相談できない少年の寂しさは、次第に忘ヶ島への望郷を募らせていった。

今回の物語は、そんなところからスタートする。
夏休みを前にして、秋人は半ば家出同然で《忘ヶ島》に帰る……。
それは、もう東京には戻らないという決意の表れだった。
自分の好きなものは、純粋に求めていく……彼の行動は、大人から見れば『甘え』でしかないものの、
その胸中はピュアなものに満ちていた。

果たして故郷の離島には、どんな再会が少年を待っているのか?
さらに、逃れられない残酷でせつない運命とは――。


宇津宮琴音(16歳)=うつみや ことね
VC
小林眞紀
ここは『まぼろしの島』よ……。

……あなたは、忘れられない過去に惑わされてるだけなの。

この物語の最大の謎を解くカギとなるヒロイン。
彼女についての情報は、公演前においては一切が伏せられている。
なので、ここでは琴音が生まれた背景――キャラクターメイキングについて解説しよう。

せつなく、はかなげな少女……。

琴音のイメージは、今回『まほろばの島』の脚本家が実際に恋した“初恋の女の子”がモデルになっている。
脚本家の初恋の相手は、小学生のときから魔性のような妖艶な魅力を漂わせた異色の女の子だった。
やがてその彼女は10代の若さで水商売の世界に導かれ、そして男と駆け落ちをして行方不明になってしまった。
そんな過去の出来事を思い返し、脚本家は「もう二度会えないんだ……」という、
当時のせつない想いを、今回のヒロインに込めていったという。
彼女は、今もどこかで元気に暮らしてるのだろうか……。
……もう二度と会えない女の子への想い。

それが、今回の琴音というキャラクターが生まれた出発点なのだ。
空想の物語だからこそ可能にさせた、初恋の子との再会……。
さらに新たな謎が加わり、クライマックスは大ドンデン返しへとつながる。
脚本家の構想は、過去を繙く作業のように物語として結実していった。
ゆえに、この琴音の存在は今回のストーリーにおいて重要な位置づけとなっている。


沢口静音(16歳)=さわぐち しずね
VC
島涼香
会いたかった……お前に会いたかった。
だから迷った。
今でも、迷ってる……。
いつも俯き加減にブツブツと喋る内向的な彼女であるが、
その奥には驚くような激しさも秘めているらしい。
静音は一見しておとなしそうなタイプに思えるのだが、やるときはやるといった、意外と気の強い性格なのだ。
あまりそれらを表面に強く出さないがゆえに、他人の言いなりになっているようにも見えたりするのだが、

本当は自分というものをしっかりと持っており、それが少々世間の常識から外れていようとも
自分が決断したことは最期まで貫くといった頑固さがある。

おそらく静音のようなタイプは、自分が信じた人は最期の最期まで裏切らない。
そんな強さを内に秘めているのだろう。
そういった自分の激しい内面を、彼女はわざとなのか秋人にだけは曝け出そうとする。
それはおそらく秋人のことを信頼しているからだ。勉強好きで理論家の彼女なのだが、
他人との付き合いに関しては自分の直感を優先する向きがあるらしい。

それも、静音の理論で言わせれば「他人の内面はすべてわかるはずがないのだから、
結局は最期に信じられるのは自分だということになる。
だから自分の直感さえも疑うようになったらおしまいだ……」ということになるらしい。
自分が信じた相手には、できるだけ本音で付き合いたいと思う静音らしい一面だ。

静音は情念的な揺れとカミソリのような鋭さの間で、
アンバランスな人格を形成するキャラクターとして生み出された。
実は怒りっぽくて、時には大胆な行動に出たりもするような、
いわゆる思春期の少女にある『不安定さ』が色濃く出たキャラクターである。

その危なっかしさが逆に魅力となる彼女だが、公演ではどんなキャラクターに仕上がってくるか楽しみである。


門脇茜(14歳)=かどわき あかね
VC
雪野梨沙

お兄ちゃんとまた会えて、茜はうれしいんだぁ……。
だって、甘えられるの……今のうちなんだもん。
寂れゆく忘ヶ島において、まるで太陽のように明るい存在の女の子。

秋人のことを『お兄ちゃん』と呼び、二人はその純粋な性格もよく似ているのだが、実は本当の兄妹ではない。
幼い頃から秋人とよく遊んでいたので、いつしか擬似的に兄妹のような親しい間柄が築かれていったのである。

そんな擬似的な兄妹の関係だからこそ、茜は年上の秋人をたまに困らせてみたり
また時にはリードするくらいおませな一面を見せたりする。でも基本的には、甘えん坊で淋しがり屋なのだ。

茜がいつも無邪気で明るく振る舞うのには理由があった。彼女は幼いときに大病をわずらい、
命の危険にさらされたことがあった。ゆえに子供の頃に命の大切さを知り、
元気になった今を精一杯に生きようとしている。まるで、すべてに後悔を残したくないかのように……。
それが、茜の明るさの原動力にもなっているのだ。
また体が弱かった頃に秋人から励まされたことも、茜にとっては大きな支えであった。

そんなところも、秋人のことを「ずっとお兄ちゃんと呼び続ける」と、彼女に決心させている理由なのだろう……。
都会の色には染まっていない純朴な妹キャラとして造られたこの『茜』が、
本作品においてどんな可愛らしさ、いじらしさを見せてくれるかが見どころのひとつでもある。


十河薫(16歳)=とがわ かおる
VC
浅田葉子

……バカ。最後にそのくらい、

カッコつけさせてよ……。

みんなのための正義……薫の行動原理は、ほとんどそこから来ていると言えるだろう。
全員にとって正しいことは何かを常に考える薫は、クラスに必ずひとりはいるという学級委員長タイプだ。

いつも冷静であり続けたいと願い、他人との関係においてもお互いの立場を尊重し合おうとする。

それは言い換えれば、つまらない生き方かもしれない。でも、薫自身はそれすらも納得し、
これは自分の持って生まれた性格なのだからと受け入れてしまっている。
そこまでクールに生きることが自分らしさだと考えているのだ。

だが一見して堅そうに見える彼女も、実は理想と現実の狭間で揺れている。
本当は都会への憧れもあって、新しい世界で自分の可能性を試してみたい欲求もあるのだが、
それは忘ヶ島を捨てることになってしまうという現実に阻まれ、胸の奥の深くに抑え込んでいる。

自分のことよりも、まわりを大切にしたい。恋よりも友情が先、
そして夢よりも現実が……いつも自分を殺し、あきらめることに馴れてきた薫は、
若いうちから妥協という大人の手段を手に入れてしまっているのかもしれない。
おそらくこんな薫が本音を見せるのは、何かのときの、
ほんの一瞬のつぶやきでしかないのだろう。本作品においても、そこが見られる瞬間にぜひ注目して欲しい。


佐久間琉璃栖(24)=さくま るりす
VC
荒井静香

じゃあ今度は、もっと刺激的なことをしたら……

もっともっと、思い出してくれるかしら?

10代の少年少女が数多く出てくる本作品の中で、大人の色香を持ってその存在感を示してくる琉璃栖。

彼女も謎の多い登場人物のひとりである。
例えば本人の弁によると、秋人の旧家(両親が捨てた忘ヶ島の古い屋敷)の隣に
昔から暮していたと言うらしいが、秋人自身はそのような記憶はまったくなかったりするのだ。

だが、琉璃栖は秋人を以前から知っているかのように親しげに接してくる。
しかも、危険な関係になることも厭わしくないかのように……。

大人の女性が、年下の少年を弄ぶような悪女っぽさを見せる琉璃栖だが、
その行動もよく見ていると、心底本気でやっているわけではないようだ。

彼女はある目的があって、秋人に近づいてきているような節があるらしい。
果たしてそれが何であるかは、まだわからない。しかし、それが明白となったとき、
彼女も今の状態から救われたいと願っている、ひとりの寂しい女性であったことがわかるだろう……。